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回想②
それから数ヶ月後。
僕の元へ殿下から、婚約の打診の手紙が届いていた。友と言ったのに、何の冗談だろうか・・・しかも僕は、後を継がなければいけない嫡男だ。
「自分の気持ちに、正直でいいんだよ」
男爵様には、そう言われた。断ってもいいのだろうか・・・そう思い、「僕が養子に来たのは、男爵家を継ぐためですから」と言って断った。
それから暫くの間、パーティーには出ずに勉学に勤しんでいた。
僕は殿下に『友』と言われて嬉しかったし、友達だと思っていたのに、殿下は違ったのだろうか・・・そんな時、殿下から手紙が届いた。『今度、王家が主宰するパーティーへ来て欲しい』と。
*****
数日後。
訪れたパーティーには、たくさんの令息と令嬢が来ていた。同世代が多く、中には王立学園に通っていた時に、同じ講義を受けていた人達もいた。
パーティーが始まってすぐ、レオンハルト殿下の挨拶が始まった。
「本日は私の17才の誕生パーティー、並びに婚約パーティーへ来ていただき、ありがとうございます」
(えっ・・・婚約パーティー?聞いてないんだけど・・・誕生パーティーだと思ってたよ。何なら、さっきプレゼント渡した時に、言ってくれても良かったのに・・・)
「せっかく開いた婚約者選定のパーティーではありますが、私には既に心に決めた人がいます・・・ステファン・グランドール」
急に僕の名前が出て来て驚いた・・・何だか嫌な予感がする。
「・・・はい」
「私のパートナーとして、共に生涯を歩んではもらえないだろうか?決して楽な道のりでは無いかもしれない・・・だが、君の『英知』と『正しき心』があれば、これまで以上に王国を発展させることが出来るだろう・・・私と婚約してもらえないだろうか?」
(え?・・・養父であるグランドール男爵には「男爵家を継ぐから」と言って断ったハズなのに、どうしてこんな事に・・・これって、断っていいのか・・・断れないパターンだよな・・・殿下の面子を潰す訳にもいかないし・・・了承して、後で断るのもあり・・・だよな)
殿下は階下にいる僕の前まで来ると、片膝をつき手を取って僕の顔を見上げた。
「はい。謹んでお受けいたします・・・私でよろしければ、末永くよろしくお願い致します」
「・・・・・・」
殿下は感極まったのか、僕の手の甲に額を押し当てると、立ち上がって僕を抱きしめた。
「ありがとう・・・ステファン」
たくさんの黄色い声や歓声が聞こえた気がしたが、今の僕に気にしている余裕はなかった。
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