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リオンの呼びかけにステッキをつきながらその隣にやって来たウーヴェだったが、底冷えしそうな寒さに身体を震わせてどうしたと再度問いかけると、月がすげー綺麗だと思わないかと楽しそうな声に問われて隣のリオンと同じように月を見上げて無意識に感嘆の白い息を吐く。
「ああ、本当だな……ハッチ」
空気が澄んでいるからか今夜の月は本当に大きく丸く見え、月の模様も手に取るように見える美しさだった。
大自然が見せるそれに感嘆の息を吐いたウーヴェだったが、次にウーヴェから出たのはくしゃみの音で、さすがに己は平気でもウーヴェにとってこの寒さは危険だと思い出したリオンが隣で同じように手摺りに上体を預けているウーヴェの肩に腕を回して抱き寄せる。
「……これで寒くねぇか?」
何だか今日の月は目を離したくないほど綺麗だからもう少しだけ見ていたいとひっそりと懇願するリオンの腕に手を重ね、甘えるように首を傾げて身を寄せると安堵の吐息が隣に零される。
「ああ……暖かいな。それにしても……」
リオンが今夜の月からは目を離したくないと言いたくなる気持ちが何となく理解出来ると苦笑したウーヴェは、リオンへと更に身を寄せて寒さを遮断すると、それに気付いたリオンもウーヴェを今度は両腕で後ろから抱きしめる。
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