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そんなまどろっこしい告白方法など、きっと自分達の間には不要だろう。
それよりも自分達らしい方法が他にもあると思い出し、自然と口元に笑みを浮かべた慶一朗は、マグカップをテーブルに置いた後、いつものように呼びかける。
「……ヘイ、王子様!」
その声にリアムが何だと振り返り、リアムの手から伸びているロープの端を引っ張っていたデュークもリアムと同じように慶一朗を見る。
「どうした?」
「月が綺麗だぞ」
慶一朗がにやりと笑いながら告げた一言に咄嗟に何も返せなかった様子のリアムだったが、慶一朗の白い手が指さす月を見上げて目を細めると、慶一朗の口元に浮かんでいるものと似たような笑みがじわじわと浮かび始める。
「……あぁ、本当だな」
「よし! 月見をする。そこに横になれ、リアム」
リビングとは違って庭での月見だが、いつものように横になれと命じた慶一朗は、そのまま横になったとしてもいつもの心地良さを得られないことに気付き、リビングに戻ってクッションを両手に抱えて戻ってくると、リアムが背中を預けられるようにクッションを山積みにする。
その動きから望まれていることを察し、いつもはソファで取っている態勢になったリアムがこれで良いかと問いかけると、一つ頷いた慶一朗がその前に座り込んでリアムの胸に背中を預ける。
「……これで良いか?」
「ああ…………綺麗だな」
「うん……綺麗だな」
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