38.定番と停滞

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 しかし、ムスメに言わせると、ドイツを席巻しているのはイタリアの下着メーカーintimissimiだそうな(もはやメイクだのファッションだのトレンドは彼女が入り口)。  確かにイタリアらしいレース使いが、「え、ブラの紐見えるってありえない」染みつき派から見ても、ああintimissimiのなら確かにあり得るかもと思わせる実力だ。繊細なのにいやらしさのかけらもない。堂々“ファッション”を張っている。「ブラですが何か?」と聞こえてきそうだ。  私の持っているのはネイビーのレース付き長袖一着で、実はブラではないのだが、そのカシミヤ混なのにうっすら肌が透けるところやとても美しいレースにやられた。Vカットの胸元に割と幅広くあるレースが両手首にもしっかりと施されている。下着なのに一枚で着られるというその新たな概念にまだ頭がついて行かないながらも、手の中に収まりそうな薄さなのに保温性と伸縮性に優れているところからして(美しさも勿論あるが)、もしかして今年の冬はヒートテックではなくこちらにお世話になるかもしれない。店舗もミュンヘンだけでも幾つもあるし。  と思っていたら、好きでよくチェックしているスタイリストの大草直子さんが何と新着のYouTubeでintimissimiのインナーを絶賛されていた。そうか、あの大草さんが……と勝手に嬉しくなり、何故かムスメに自慢すると、そうだろう、そうだろうと深く頷かれた。
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