3. 街に出よう

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 皆が料理を食べ終え、満腹であると言わんばかりに座席の背もたれに寄りかかってリラックスをしながら談笑を交わす。店内の掛け時計が13時を示した頃、遊馬が瑞沢へと声をかけた。 「瑞沢はこの後暇なのか? まあ暇だよな。だったら少し付き合って欲しいことがあるのだが」 「人を暇人か何かだと思ってるのかな...。分かんないよ? 私だって超多忙かもしれないよ? まあ遊馬くんの言う通り、店を開ける18時までは暇なんだけど!」  瑞沢は語尾を強調して不満げな表情を見せた。 「そうか。ならこの後楓の私服やら日用品、家具なんかを見に行くんだが、一緒に来てくれないか? 特に服なんかは俺ら男連中にはどれが良いかとか分からん」 「はいよろこんで!」  寸分の間を空けずに即答する瑞沢。彼女の表情は先ほどまでとは打って変わって、満面の笑みに満ちていた。 「そうと決まれば早く向かおう! ちょっと待ってね、すぐに食器洗ってくるから」 「あ、私もお手伝いします」  瑞沢に続いて楓も席を立ち、厨房の洗い場の方へと駆けていく。洗い場でふたり並んで共同作業をする様子を、遊馬と神原はテーブルに肘をつけて眺めていた。 「それでね、駅を出たらくまぽんっていうキャラクターの着ぐるみが居てね、くまぽんと一緒に皆で写真を撮ったんだよ。あとで写真見せてあげるね」 「くまぽんって確かテディベアとキツネを足して2で割ったみたいな見た目のやつだよね? テディベアみたいな可愛さに対してキツネのようなキリッとした目のギャップがまた良いんだよね」 「そうそう!」  シンクに流れる水の音と共にふたりの白熱したくまぽんトークが聞こえてくる。 「瑞沢さんと案外仲良くやれてそうじゃないっすか」 「ああ。なんというかあのふたり、驚異的な速さで打ち解けてたな」 「あれには僕も驚きましたよ。それより楓ちゃん、すごい楽しそうですね」  談笑しながら食器を洗うふたりの背中を眺め、暖かく和まされながら皿洗いが終わるのを待つ遊馬と神原であった。
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