4話 ぼくの夢

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4話 ぼくの夢

ぼくは夢を見ていた。 そこは今の世界とは違う世界。 ぼくの名前は雨宮玲人。 日本人だ。 ここは日本で、玲子姉さんと一緒に暮らしていた。 社会人になったら、姉さんは一人暮らしをするらしい。 少し、寂しくなるな。 あれ?これは夢?でも玲子姉さんはリンねえちゃんで・・。 混乱してきた。 慌てて起きる。 今は真夜中だ。 「――っ!」 「今の現実はこっちなのに、引っ張られる・・」 夢の日本の記憶がはっきりし過ぎていて、時々混乱してしまう。 「すう~っ・・はぁ~~」 ぼくは深呼吸をした。 1年前から、ぼくは日本での夢を見るようになっていた。 あまりにリアルすぎて、起きた時は混同してしまうことがしばしばある。 「今はこっちが現実だ」 落ち着いてまた寝よう。 **** 「はぁ~よく寝た」 わたしは思いっきり伸びをした。 ベッドがふかふかで寝心地が最高だった。 前の家のシンプルなベッドって何だったのって思うくらい。 コンコン ドアがノックされた。 「お嬢様朝食が出来ております」 おお!朝食用意しなくていいんだ。 わたしはいつも作らないけども。 いつもレインが作ってくれていたんだよね。 レインにはいつも迷惑をかけていたな。 私は上機嫌で階段を下りていく。 下に広い部屋があって、食事をする専用なのだとか。 さすが貴族だけある。 レインがとぼとぼと階段を下りているのを見かけた。 あれ?どうしたんだろ。 元気がない様な気が・・。 「レイン?おはよう」 私が、後ろから声をかけるとレインはびくっと肩を震わせた。 「ね、ねえちゃんおはよう」 レインは私にぎこちない笑顔を向ける。 朝食。 広い部屋に大きいテーブル。 私はレインと迎え合わせで椅子に座った。 柔らかいパンとスープ、ソーセージとスクランブルエッグ。 サラダもあって飲み物がついていた。 朝から豪華だな。 食べきれるだろうか? こういうのもいいけど、いつものレインの作った朝食がいいな。 「レイン?」 ふとレインを見ると、食欲がないのかあまり減っていない。 「どうしたの?何か悩みとかあるの?」 「・・何でもない」 何でもないわけがない。 こんな深刻な顔のレインを見るのは初めてだった。 私もレインに聞きたいことは沢山あったのだが、先ずはレインが悩んでいることを先に解決したほうが良さそうだ。 「食べたら少しお部屋で話しましょう」 私はレインにひとこと言って、食べ始めた。 「私の部屋でいい?」 「わかった」 良かった。 レインが元気ないと、何よりも私が落ち着かなくなるから。
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