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3話 お屋敷
ゴトゴトゴト・・
馬車は意外と揺れる。
「家こんなにお金あったっけ?」
馬車は貸し切りで、結構な金額する気がしたけど。
私はレインに思わず聞いた。
「馬車の事?ああ、確か財産はまだ1億ぺリルはあったはずだけど・・」
「へ?」
「「一億??」」
「ね、ねえちゃん声でかいって!」
「どうかされましたか?」
すかさず、御者が声をかけてきた。
「ああ、大丈夫です。お気になさらないでください」
レインは落ち着いて御者に答える。
「もしかしてねえちゃん知らなかった?うち、一応貴族なんだけど」
****
「名前からして分かると思うんだけどな・・平民なら名前もう少し短いし」
そういえば家には家名みたいのがあった。
「隣の家、家名なかっただろ?」
レインの言うのは幼馴染のカーベルの家の事だ。
アルフレッド・・そっか貴族だったのか。
「貴族ならどうして村に住んでいたのよ」
「両親が貴族のしがらみが嫌になったって聞いたよ・・まあ、村ならそういうのないからね・・両親が亡くなった時、土砂災害だっただろ。仕事中に巻き込まれたんだよ。地方領主だからね」
そっか。
ようやく理解できた。
通りで家には高い物が置いてあったはずだ。
クローゼットのドレスも、宝石も。
ていうか、何で今まで疑わなかったんだろ私。
「うう~ん」
私は頭を抱え込んだ。
****
目の前に信じられない光景があった。
大きい鉄の門。
奥に見える屋敷のような建物。
ガラガラと音を立てて鉄の門が開かれた。
「あれ・・もしかして?」
「うん。ここが家だよ?前の家よりだいぶ広いけど」
だいぶっていう感じじゃないでしょ!
何倍なんだこれ?
広大な庭があり、中央に噴水、木がきれいに植樹されている。
「「お待ちしておりました」」
執事とメイド達にお出迎えされる。
一様に頭をさげられる。
「ありがとう。これからよろしく」
レインはさらっと挨拶をかわし、屋敷に入っていく。
「・・ど、どうも・・」
慣れない・・何だか緊張してきた。
レインが後ろを振り向き、慌てて戻ってきた。
「ね、ねえちゃん?大丈夫か?顔真っ青だけど」
ああ、よかった。いつものレインだ。
「よいしょっと」
え?
私は一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
「ねえちゃん、疲れてるみたいだから、ぼくが部屋まで運ぶね?」
私はレインにお姫様抱っこされ、屋敷の中へ入っていく。
え・・何かカッコいいんだけど。
弟なのにカッコいいと思ってしまった。
ぽーっとしたまま、私は自分の部屋のベッドに抱きかかえられていった。
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