6話 冒険者ギルド

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6話 冒険者ギルド

屋敷での生活も少しずつ慣れてきた。 「そういえば、ねえちゃん冒険者になるって言ってたよね?」 レインが話しかけてきた。 何だか色々ありすぎて忘れていた。 そう、私は冒険者になるために、家を出る決意をしたのだった。 実際は家を出るどころか・・引っ越しをしてしまっていたのだけど。 「冒険者ギルド行ってみる?」 「・・うん」 色々あったけど、冒険者になるのを諦めたわけじゃない。 私はレインに促され、冒険者ギルドへ行ってみることにした。 **** 王都アルティナ。 屋敷に引っ越ししてから、まだ外に出歩いたことがなかったな。 都というだけあって、人がやたらと多い。 村と比べても仕方ないのだろうけど。 来るときは気が付かなかったが、歩道も整備されていて、地面には石が敷き詰められている。 そこかしこにあるお店も、洗練されているようだった。 「こっちだよ」 レインに案内されて、私は大通りを歩く。 冒険者ギルドは中心地にあるらしい。 歩いている人が徐々に変わってきている気がする。 品がないというか、野性的というか、少し怖い感じだ。 「あまり他の人を見ない方が良いと思うよ。目が合っただけでも喧嘩を売ってくる人もいるから」 ひぇっ。 冒険者ってそんなやばいの? 思い描いていたのと違う。 私はすでに後悔をしていた。 華麗に魔法を操り、さっそうとモンスターを倒して、さくっとお金を稼ぐ。 そんなイメージしかしていなかったから。 「ここだよ」 大きい円形上の建物。 レンガで作られているようだった。 扉を開け足を踏み入れると・・・。 そこはまさに異世界だった。 目つきが悪く、ガラの悪そうな男達。 女性も、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。 私はレインに手を握ってもらい、歩いて行った。 受付へ行ってレインは声をかける。 「冒険者登録をしたいのですが」 「ここに、書いてあるけど年齢はいくつかしら?15歳以上じゃないと登録はできないのよね」 胸の大きな女性が話しかける。 ギルド職員なのだろう、制服を着ている。 カウンターの前の張り紙には、確かに15歳以上の登録と書いてあった。 「やっぱ無理ですよね」 「ぼくは13歳、姉は14歳です」 「あら、もう少し大人になってからいらっしゃいね」 「・・・」 「でも依頼は出来ますよね?」 「依頼?お金さえ払えば出来ますが・・」 「では、また後で来ますね」 **** レインは15歳以上でないと、登録出来ないことを知っていたようだった。 「登録出来ないって知っていたのに、何でわざわざ来たの?」 「だってねえちゃん、来たがってただろ?それとどんな所か、見ておきたかったのもある」 私はレインに連れられ、近くの喫茶店に入っていた。 「まあ、確かに見たかったけどね」 紅茶を口につけて、思い出す。 そういえばカーベルが15歳だったはず。 登録したのだろうか?
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