7話 シスコンとブラコン

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7話 シスコンとブラコン

俺はカーベル、リィン村の村民だ。 最近静かだなと思ったら、お隣のリンが引っ越していたらしい。 挨拶も一切なかった。 落ち込んでいたら、弟のレインが俺の両親にしっかりと挨拶をしていたようだった。 レインって何故か、俺に風当たりがきついんだよな。 シスコンをそれだけこじらせているってことか。 「お隣さん、王都のお家に戻ったみたいだねぇ」 母さんが口を開いた。 「あいつんち王都に家なんてあったの?」 「リンちゃんちは貴族様だからね。すっかり忘れていたけども」 「「はああ??」」 「何だい知らなかったのかねぇ。どうやらリンちゃんも、知らなかったらしいけど・・」 リンが貴族? 冗談だろ?? **** 「冒険者になるのに一年後かぁ」 私は屋敷の一階、リビングの窓辺で空を眺めていた。 ここは畑も無いし、料理や洗濯もやってくれるし何もすることが無い。 何日もぼーっとしていたら駄目になってしまう気がする。 「ねえちゃん、ちょっといい?」 レインがリビングに入ってきた。 「ねえちゃんが良ければだけど、魔法とか練習してみる?まあ、今募集かけてるんだけど、中々家庭教師見つかってないけどね」 「え、そんなことしてくれてたの?ありがとうレイン」 本当に出来た弟だ。 私にはもったいないくらい。 ん?でも待てよ? 私ってば、レインに世話になりっぱなしじゃない? 自立から遠ざかっている気がするのだけど。 「ぼくはねえちゃんに使われて、本望だから、いっぱいこき使ってくれていいんだからね?」 私の考えを知ってか知らずか、そんな言葉を投げかけるレイン。 「こき使うって・・」 「冗談だよジョーダン。ぼくが進んでやってる事だからね」 レインてば、本当にカーベルの言うとおりのシスコンかもしれない。 そんな弟には早く彼女でも作ってほしい。 チクッ 何だか今、変な気分になったけど気のせいだよね。 胸が痛いとか・・私もブラコンこじらせているのかもしれない。
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