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1話 夢の続き
私は彼と見つめあっていた。
まさかこんな日が来るなんて予想もしていなかったけれど。
純白のドレスを身にまとい、バージンロードをゆっくりと歩く。
両親はすでに亡くなっているので、2人と数人の小さい結婚式。
祝福されて気持ちが温かくなる。
幸せってこういう事をいうのだろうか。
****
私はリン・アルフレッド今年14歳になった。
3年前両親が土砂崩れに巻き込まれ他界し、ティン村で弟と二人暮らしをしている。
私の髪は金髪で瞳は青色をしていた。
最近なぜか容姿に少し違和感を感じる。
昔から変わっていないはずなのになんでだろ?
「姉ちゃん、今夜は何が食べたい?」
「レイン、何でもいいよ。あなたの作る料理はどれも美味しいからね」
「・・なんでもいいっていうのが一番困るんだよね。姉ちゃんの好きなハンバーグにするね」
弟のレインはいつも私に優しくてかわいい。
髪は私と同じ金髪で、瞳はくすんだ灰色。
私は料理の才能が壊滅的に無いのだろう。
火を使えば焦がすし、食べられないほど不味い物しか作れなかった。
さすがにずっと弟に頼りっぱなしという訳にはいかないかな。
ということで、私は自立した生活を目指すため冒険者になる事にした。
深夜、私は部屋の机で紙に文字を書き込んでいた。
「姉ちゃんさ・・何か企んでない?」
レインが私の顔をのぞきこんだ。
「ひゃっ!びっくりするじゃない。ノックくらいしなさいよ」
慌てて、紙をかくす。
「ああ、ごめん。だってドア開いてたから」
これからの予定を紙に書き込んでいたのだ。
家を出るなんて知られたら、レインは怒るのではないか?と思い隠していたのだ。
「ふぅ・・まぁバレてるけどね。カーベルに話してるでしょ」
ぎくっ
家が隣の幼馴染のカーベル。
私より一つ歳上の彼は良い相談相手になってくれているのだ。
「隠さなくてもいいのに・・・」
「怒らないの?」
「怒るわけないでしょ。っていうか相談してほしかったな」
レインの顔が少し曇ったように見えた。
****
今夜も夢を見ていた。
私は白いブラウスを着て黒いジャケット、黒いスラックスの姿でパソコンを操作している。
「ん~疲れた。早く帰りたい」
私は伸びをして時計を見る。
あと1時間かぁ。
もうちょっと働く時間短くならないかな。
そんなことを考えながら、仕事をこなしていく。
「早く帰って、動画見よ」
呟いてエレベーターに乗り込んだ。
****
「・・またこの夢・・」
見ている時は違和感がないんだけど、目が覚めると訳わからない。
「なんていうか現実感がありすぎるんだよね」
ここ最近その夢を多く見ることが増えてきた。
何かの病気なのだろうか。
「誰かに相談できればな」
窓を開け夜空を見上げた。
夜空は星が瞬いている。
空は同じなんだよね。
夢と今の共通点を無意識に探すようになってしまった。
「私っておかしいのかな・・」
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