いれる、いれる。

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『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』  小さな紙を、その文字がひたすら埋め尽くしていた。赤いサインペンで書きなぐったような文字。先日見た時の、赤と白のまだらはこのせいだったのだと気がついた。多分、ティッシュ程度には水に溶けやすい素材だったために、このまま洗濯されて大変なことになったのだろうということも。  私は暫くその場で凍り付いたまま動けなかった。  今、手紙が出て来たのは長男の短パンだ。宛先が書いていないので、誰にこんな呪詛を吐いているのかはわからない。ただ、長男が自分で書いたなら、そんな手紙を入れっぱなしにしたまま洗濯機にいれてしまうというのはあまりにも妙だ。  ということは。誰かが長男のポケットにこっそりつっこんだ、ということではなかろうか。つまり、呪詛を向けられているのは長男なのではないか。 ――い、いじめ?ひどい……なにこれ。誰がこんなこと……!学校で誰かが、ポケットの中にこっそり入れたってこと?  最初はそう思った。しかし、よくよく考えてみればそれもおかしいと気づく。というのも、今の季節は夏。学校から帰ってきた長男はいつも汗だくなので、帰って早々服を一通り着替えてしまうのだ。それはズボンも同じ。つまり、毎回彼のズボンは二着ずつ洗濯籠に入ることになるのである。  自分の記憶が正しいのなら、このズボンは二着目の方だ。つまり――学校から帰ってきたあとに着替えた方。学校の友達が、手紙を入れることなど不可能だ。  では、家から戻ってきたあとで誰かが入れたのか、と気づいて凍り付く。
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