いれる、いれる。

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いれる、いれる。

 これはうちの長男が、まだ小学生だった頃の話。  当時、長男は小学校四年生。次男は小学校二年生だった。四年生=十歳ともなれば男の子でも落ち着く子はいるのかもしれないが、少なくともうちの長男はそうではなかったと記憶している。今でこそ背も伸びて大人っぽくなった彼だが、小学校の頃は中学生になるまでずっとチビだったし、見た目通り中身も非常に子供っぽい性格だったのだ。  具体的に言うと、川遊びや雪遊び、泥遊びをして服を汚しまくって帰ってくることもしょっちゅう。  鬼ごっこをしたり、友人達とボコスカと喧嘩をして擦り傷だらけになって帰ってくうることも珍しくはなかったのだった。  幸いにして泣き虫ではなく、頭から血を流しているのに本人はげらげら笑っているのがテンプレだったが。 『兄貴ってマジで馬鹿だよね』  そんな兄を、やや白い目で見ていたのが次男である。二年生だったが、夫に似たのか彼の方は成長が早く、二つ違いにも拘らず兄と同じくらいの身長だった彼。学校の勉強も得意で、言動も賢かった。まあ、少々毒舌家のきらいがあってハラハラさせられることも多かったのだが。  自分とは真逆の兄に、彼も幼い頃から振り回されることが多かったように思う。兄貴は馬鹿だし、ほんと馬鹿なんだから、的なことを言って呆れている姿が散見されたのだった。馬鹿と言われてもまったく気にしていない兄も兄だったとは思うが。  と、ここまでは話の大前提。  騒がしい長男と、賢いが毒舌家の次男。そんな二人を育てつつ、私もパートタイムでコンビニの仕事を頑張っていた頃のことである。ちょっとした面倒が頻発するようになったのは。
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