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家に戻ると、出勤前の謙を起こして確認するのではなく、直接百合子の寝顔をのぞいた。
「ゆり…」
近寄るのは控えた。
朝刊の来る時刻に起こすのも悪い気がした。
同時に、夢を疑わない自分がおかしくて笑いそうだった。
せっかくこんな時間に起きているのだから、張り切って朝食でも作ってみることにした。
百合子も喜ぶだろう。
まずは目玉焼きをと、換気扇をつけた。
俺は半熟が好きだが、百合子と謙は固めが好きなので、先に二個落としてから焼き始めた。
一緒にウインナーソーセージも焼こう。
サラダ油の香りが舞う。
起こしちゃうかな?
気にせず夢中に作っていると、俺にしては上手くできた。
「案外簡単だな」
微笑みながら全体にケチャップソースをかけた。
丁度やかんのお湯が沸いたので、マグカップに優しく注ぐ。
俺はコーヒーが好きだが、サイフォンなどを買うお金がないのでインスタントで我慢している。
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