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「ちょっと今、母さん持病が悪化したみたいやわ。帰ったら見てくれるか?」 「わかったわ」 俺は電話を切った。 「どうしたんやあ?」 謙は物音で起きてきた。 「母さんの具合がな。四郎帰ってくるみたいやから、謙は仕事行ってこい」 「親父は?」 忘れていた、いや思い出した。 三年前といえば部下のタバコの不始末で、うちの会社の作業場が火事になり責任を取らされた年だ。 確か昼休憩の時間だったはず。 「急いで行くわ」 「え?」 俺と謙は出社した。 「あの人たちは…あの人たちだけは…」 百合子は悪夢まで見てうなされている。
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