1回転

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喉に押し寄せてくる炭酸。 腹に落ちたアルコールは俺の脳をイカせる。 四本目の安酒の栓を開けようとすると、背後からうっすらと声が聞こえた。 「こんな親父が残って大変やなあ、謙。四郎が結婚した矢先に嫁亡くしたいうても、共倒れするつもりかいな。まあ、謙はその方が楽か」 甥の慶次が、俺の息子たちに何やら吹き込んでいるようだが、そんな小言にも目もくれず、俺は酒を飲み続けた。 思えば、我が家は貧乏で息子たちはもちろん、百合子にも楽させてやれなかった。 どこで間違えたかな。 気づくと俺は、葬儀屋の座布団に身を埋めていた。
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