「ここに手を置いて」

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 次の日には「須田司二十一歳 殺人の容疑の逮捕」と全国ニュースに流れた。僕は心を病んでいる恋人を殺した心のない人間だと世間から非難を浴びた。  だが、僕は何度事情聴取を繰り返されても本当のことは話さなかった。凛は真っ当に生きたのだ。僕なんかよりも、ずっとずっと他人を大切にできる心優しい人だった。だからこそ、それを汚したくなかった。 「人を殺してみたかったんです」  そんな理由で報道された事件は様々なニュース番組で議論が交わされたらしい。  それで良かった。きっと、これが峰瀬凛という人格を守ったままこの世から逝なくなる最善の手段だ。  こんな僕の行動を知ったら、凛は怒るかな。
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