北の愛に満ちて

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北の愛に満ちて

 アイスランドのレイキャビクでは、黒いウェディングドレスを着た、妊婦とおっさんの式が挙行されていた。  うひょう!相変わらず可愛い俺のメス蛇ちゃん♡  おっさんが食われそうなヘビーペッティングが始まり、地元住民の、嵐のような祝福を受けていた。  ANTOKU!ANTOKUSAMA!  妙なシュプレヒコールが起きていた。  レイキャビクの、1万エーカーの別荘では、温かな暖炉の火が灯っていた。 「降魔さん降魔さん♡愛してましゅ♡」  大きなソファーの上で、イチャイチャしまくっていた。 「俺も勿論愛してるぞ♡莉里は元気だったかな?出来れば、俺自身が抱いてやりたかったんだが」 「莉里ちゃんは、降魔さんを偏愛する危うい子ですが、きっと真っ直ぐ育っていっていますよ?双子ちゃんは?」 「ああ。一緒に北海道ヘリクルーズを堪能してきたぞ?ここで過ごしたら、一回キチンと家に帰ろうか。これ以上、子供は、トキに任せられんし。ああ、それから、俺からの結婚祝いのプレゼントだ。受け取ってくれるな?」  優しく頭を撫で、差し出された箱を開いた。  真琴は、息が止まりそうだった。  アイスランドの木を加工した。木造の小さなオルゴール。  片腕では大変だっただろう。手ずから彫った白黒のモザイクカラー。  奏でられるメロディーは、ラウンド・アバウト・ミッドナイトだった。  他に、機巧部分横のポケットには、勘解由小路がデザインしたと思われる、指輪とネックレスが入っていた。  どこまでも、これは、勘解由小路そのものだった。 「何で、アバウトがないんだろうな。ラウンドミッドナイトだ文句あるかって、モンクが言ったそうだ。」 「こんなに――嬉しいことはありません。永遠に、愛しています」  溢れる涙もそのままに、真琴は言った。 「俺も愛してるぞ♡元気な坊主を生んでくれ♡お願いだ♡」  対面に座ったまま、剛直したものがジュブジュブと入ってきた、快楽に浴していた。  そういえば、地元の連中、俺達を祝福っていうか、一部崇めていたようだが。  ただ、俺は安徳(ANTOKU)じゃないんだが。  ああ、あれは安徳だな。戦部さんやっとけ。そう言ったのは確かだが。  レイキャビクの海には、昔からシーサーペントの伝説があった。  勘解由小路が過ごす別荘の敷地内には、上陸したシーサーペントの、無惨な惨殺死体がバラ撒かれていた。  日本のコミックヒーローは、世界各地で化け物を、斬獲して回っていた。
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