第1章

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第1章

  『もし……    もしお互い結婚してなくって    まだ私の事    好きでいてくれたなら    三十歳のクリスマスの日に    “約束の丘”で、私待ってるから』  飛行機のタラップを登る俺に、彼女が言った。  あれから十二年。  俺は彼女のその言葉を思い出せずにいた。 いや実は、着陸する飛行機の音にかき消され聞き取れなかったんだ……。
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