緑色の記憶

1/6
前へ
/6ページ
次へ
「もう会えないけど、また会いたい、みたいな存在っている?」  トモミは唐突に質問を繰り出した。質問自体は唐突ではあるが、なぜそれを口にしたのかは分かる。  外で飲むのは高くつくからと、缶ビールやら瓶入りのキラキラしたカクテルやらをコンビニで買って、私のアパートにいた。女子二人での宅飲みだ。 仕事の愚痴だったり、共通の友人に彼氏ができたとか、別れたといった話題を一通り済ませて、少し酔いが回ってトーンダウンしていたところだった。 ふと気がつくと、テレビには昔のドラマの再放送が映ってる。細かいことは覚えていないが、死んだ彼が生き返って主人公に会いにくるとかそういう話だったはずだ。 「別に、カレシが死んだりとか無いし、近い家族もまだ死んでないし、また会いたいとかだと実感ないんだよね」  話を振ってきたトモミだったが、内容はこちらに丸投げのご様子。 「また会いたいだったら、別に死んだ人じゃなくてもいいんじゃないの」 「まぁそうか。でも、仲良かった人とかも連絡先は知ってるから会おうと思えば大体会えるね。……しいて挙げるなら、小学校の時の担任の先生とか?」 「確かに。子どものころの恩師とかは、なかなか会えないね」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加