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「あ、そういえばジェフ君はどうする? 実家帰るよね! 僕ってばすっかり忘れてたごめん!」
「実は……母となんとか一度電話がつながったんですが『今彼氏とアイランドワンでバカンスしてるーっ! 無事ならよかった! はははっ!』って言われて困ってます! 無理してメインアイランドに帰ってくるなと言ってしまった手前、誰か友人の家の玄関でも借りようかな、と。なのでご自宅前で下ろしてくださればあとは自分でどうにかします、大丈夫です!」
屋根がありゃ眠れるので……とジェフはつづける。
「じゃあ君もうちにおいで。部屋は余ってるから」
「え、いいんですか!? ありがとうございます……龍先生! このご恩は五億倍にしてお返しします!」
頭を下げ続けるジェフにリュウは心底面白そうに笑って見せた。零の祖父である彼は長身で威厳のありそうな見た目とは異なり、とても大らかな人なようだ。
「いいよいいよ、僕こそ君には恩があるから」
(とてもいい師弟関係って感じに見えるな……)
「ところでミラ、今は気分はどう? 夕飯は食べられそうかい?」
「はい。痛み止めも効いてます。お気遣いありがとうございます」
突然声をかけられて、ミラは縮こまった。
「そんなに恐縮しなくていいよ。気にしないで」
リュウはそう言ってグラスに注がれたスパークリング・ウォーターを美味しそうに飲んだ。
レイの祖父であるはずの彼はミラの目に50前くらいの年齢に見えた。
確か、聞いたことがある。ブラボーⅠのヒエラルキートップの極少数人数の特権階級は抗老化薬が支給されるのだ。
現時点で特権扱いされているのは確か、目の前にいるリュウとキョウカ、それからレイの祖母のイチカだけだという。
「いやー、それにしても京香さん、あの勢いでミラに突っかかっていくんじゃないかと思ってどうしようかと思いましたけど……流石にそれはなかったですね」
「今までミラのこと聞いてた時はそんなんじゃなかったけど、今日はなんか迫力が違ったからねぇ……でも蓋を開けたらやっぱり大丈夫だったから本当によかったよ。ミラ、そんなに縮こまらない。君は心配しなくていいよ?」
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