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キャシーは血液検査に始まり、身体中隅から隅まで散々調べられてうんざりして更衣室の椅子に検査着のまま座っていた。
(ミラは大丈夫かな……)
彼女はまず体温測定で引っかかり別室に連行され、未だ出てこない。
ミラはそもそも平熱が高いのだ。難癖つけられていなければいいが。
着替えが終わったキャシーが外に出ると、そこにはジェフとダガーが待機していた。それからベンチの上にはサミーのドローンもあった。
キャシーは皆の元に駆け寄った。
「お疲れ様です、キャシーさん」
「揃いも揃ってどうした?」
「零もフローリアンもエリカも解放されて、今は格納庫……と言いたいところだが甲板の駐機場に待機中」
「ウエムラ中尉は?」
キャシーのこの問いにはダガーが答えた。
「あいつはジェフが手を回してくれて、病院に運ばれましたよ」
「今までの状況から判断して、そのまま放っておくのは危険だ。入院させてくれって一本紹介状を書いた。そんで世話になってた教授が今や院長だから衛星電話で電話して救急車に乗せた」
さすがジェフである。この男は確か元々はここの大学病院で働いていたはず。ツテでもなんでも山ほどあるだろう。
「来たな」
ジェフの視線の方に目を向けると、ドローンがこちらに向かって三機飛んできた。
「ミラはどうした?」
真っ先にドルフィンの声が聞こえた。キャシーは困ったように口を開いた。
「それが、ミラは最初に体温が高すぎって弾かれて……」
「ハァ? ミラは38℃が平熱だぞ! ちょっと待て俺が乗り込んでくる」
ジェフの一言に、ドローンたちが口々に続いた。
「俺も行く」「私もついていくわ」「私も行こう」「私も行きます」
(全員ゾロゾロついていったら圧がやばいだろ……)
「メンツがやばいっすね。俺も行くかな」
どうやらダガーもついていくようだ。ならば自分も行くしかない。
「……じゃあ私も行くか」
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