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ドローンが並ぶ圧よりも、プロペラが風を切る音がブンブンいっていて凄まじい。なんだこの空間は。
ジェフを中心に、検疫所の2機ずつカウンターにドローンが降り立つ。全てシンボル付きのドローンだ。圧巻である。
「ミラ・スターリングの経過はどうなってる?」
「すみません、個人のプライバシーにも関わりますので」
受付の若い男性が戸惑ったように言う。
(下っ端相手じゃらちが明かないぞ)
「俺は彼女の主治医だ。調べてくれて構わない、ブラボーⅡで医師免許取得済だ。ジェフリー・セキでヒットするはず」
その後別の女性が出てきたが、全くお話にならない。流石におかしいと皆が訝しげに黙り込む。受付に大人数で押しかけているので、結局は打ち合わせ室に案内された。
しばし待てと言われる。
「こちらの方が好都合かもな。他の人間の目もない」
ホークアイはそう言いながらローテーブルの上に降り立った。他のドローンも彼に続く。
サミーがスピーカーをオンにして言った。
「そうですね。最悪暴れればいいんです」
(それはやめろ)
「サミー、頼むから暴れるなよ?」
キャシーはソファに腰をかけた。
「……ここはブラボーⅠ、最悪俺の名前を出すのもありだ。信じてくれれば多少使えるはずだ。検疫ならじいちゃんの顔が利くから電話して呼び出すのもありだな……回線が繋がれば」
電話回線はビジー状態になっていて、数回電話をかけてやっと繋がるか繋がらないかという状態だ。まあ、ジェフが衛星電話を持っているし、機体の無線を使ってもいい。
「零、お前龍先生をそんな雑に使うのか……意味わからん」
「ジェフもじいちゃんと仲良いだろ? 来いって言ったら多分来るぞ」
「仲良いって……いや、そんなんじゃねぇよ。俺は身内じゃないんだ、そんなの無理!」
何やらジェフとドルフィンが話し込んでいる。キャシーはホークアイとエリカのドローンに目を向けた。
「二人は普通に解放されたのか?」
「ええ、いっそ適当すぎなんじゃないのってくらい。機体の洗浄作業だけは結構真面目にやってたわね。まあ、サイボーグシップって基本政府所属の公務員だから、密入国者みたいな変なのも紛れ込んでないでしょうし」
「私も概ね同じだ。サラッと終わったな、サラッと。だからキャシーがなかなか出てこないなと思ったくらいだ」
二人の話を聞いて、ダガーが訝しげに首を傾げる。
「俺はなぜか普通に出られたんですけど……ミラはやっぱ体温がまずかったのか?」
「普通37.5 超えてりゃ医療従事者は発熱認定するからなぁ……うん。だからと言ってミラが実験室出身だってことはわかるだろうがよぉ……」
ジェフは眼鏡を外して頭を抱えた。
「小鳥ちゃん、今頃お腹を空かせてピヨピヨ鳴いてるんじゃ……」
ドルフィンがぶつくさ言っているが、その場にいた全員がそれを黙殺した。
(ミラ、結構図太いから多分大丈夫だと思うけど……腹が減ったら自分から食べ物要求するだろうし)
その時、ドアが開いた。
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