6人が本棚に入れています
本棚に追加
ミラは寝室にあった扉をこそりと開けてみた。一つは鍵がかかっていたが、もう一つは開いた。
そこはシャワールームであった。
「すっごい何これ!」
洗面所には一流のホテルのように洗練された綺麗な洗面台。さらにドアの向こうにはバスタブのついたシャワールーム。もちろんトイレもある。
(寝室にシャワールームとトイレ……)
意味がわからない。
シャワールームには着替えとタオル、それから洗面台には歯ブラシや基礎化粧品もあった。準備万端で己はこの部屋に放り込まれたようだ。
ミラは挙動不審ぎみに部屋に戻った。
よくよく見れば、ベッドの脇にあったのはミニバーである。開けてみればスパークリングウォーターが入ったペットボトル。
(飲んでいいの? いいのか? いいんだよね?)
ミラは混乱しながらペットボトルを手に取った。
グラスも置いてある。交互に視線を向けおずおずと口を開いた。
「い、いただきます……」
ミラは恐縮しながらそれを注いで口にした。
「すっごいドライヤーだったな」
入浴後、髪はあっという間に乾いた。風量もさながらながら、髪がサラサラになった。指通りがいい。
(このドライヤー欲しいな……)
これはいい。そう思ってミラはその場で端末で検索をした。
(ゼロの数、おかしい……)
いや、買えない値段ではない。だが、ソックスのところで飲んだ大奮発して買ったワインの倍くらいはしている。
だが、これを客用のドライヤーとして、と考えて、ミラは洗面所を後にして高級腕時計を眺めた。
(この辺に比べたら安いか)
早くも金銭感覚がバカになり始めたミラがいた。
頭も蒸発しそうだし、風呂上がりの身体も火照っている。ミラは少し涼もうかと窓辺に寄って窓を開けた。朝の冷涼な空気が肌に吹きつけた。
最初のコメントを投稿しよう!