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「すごい、中庭だ……」
ミラがいるのは二階だった。ぐるりと屋敷で囲むようにして中庭がある。外はまだ薄暗い。
そこに、背の高い男の姿が見えた。レイの祖父のリュウだ。
彼はこちらに手を振ってきた。
「おはよう! よく眠れたかい?」
「おはようございます、おかげさまで!」
リュウの足元をニワトリが走り回っている。ミラはこの時、本物のニワトリを初めて見たのだ。彼女は目を輝かせた。
「ニワトリだ!」
「よかったら下に、玄関においで! 外で遊ばせてるから」
「行きます!」
窓を閉めてミラは一階に向かった。
玄関に向かうとリュウが待っていてくれた。
「これ、僕のウィンドブレーカーだけどクリーニングから戻ってきたばっかりだからよければ着る? あ、元は零が着てたやつだから!」
なかなか威厳のある顔つきながらも柔和な表情のリュウがそう言った。
口調はレイとそっくりだ。さすが祖父と孫だ。
「ありがとうございます」
「気にしないで、ちょっと遊んだら一緒に朝ごはん食べよっか」
「はい!」
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