6人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく待てば、カレーライスが出てきた。
昨日もサンドイッチしか食べていない。久しぶりに見た温かい食事はあまりにも食欲をそそる物であった。
「これなんのカレーですか?」
「牛すじ肉。牛すじ貴重だからなかなか食べる機会ないよね」
ダイニングテーブルの向こうにいるリュウはこちらを見てにっこり微笑んだ。
カレーとライスの黄金比。湯気を立てるそれをスプーンですくう。じっくりと煮込まれた牛すじはとろとろで、ルーは少しスパイシーで肉の風味が溶け込みご飯がすすむ。
(何これ!?)
「美味しいです!」
「お口に合ったみたいだね。昨日ジェフ君たちも喜んでたから、作ってよかったよ。下ごしらえしたの零だから、起きてきたら礼を言ってやって」
ミラは口にカレーライスが詰まっていたのでブンブン頷いた。
透明でキラキラ光を反射する氷が入ったグラスに水を注いでミラのそばに置き、リュウはキッチンに向かった。
「僕はフルーツサンド作るね」
カレーを食べ終えた頃に出てきたフルーツサンドもリュウが手ずから淹れてくれた紅茶も絶品だった。
(リュウさん、ものすごくダンディでジェントルマンで料理上手だな……)
ミラはこの時点で完璧に餌付けされていた。アサクラの男性陣は人の胃袋を掴むプロ集団であることに気づいたのはもう少しのちのことである。
最初のコメントを投稿しよう!