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「それだけじゃない。あの子といつも一緒にいてくれただろう? 僕はそれだけで嬉しいんだよ。キャシーもそうだ。零と一緒に住んでくれて、ジェフ君もいつもあの子のわがままに付き合ってくれてる。今本当に友人に恵まれて、昨日だってただみんなの食事の準備をしていた時だってものすごく楽しそうだった。あんなによく話す零を見たのは……十年ぶりだ」
「そうなんですか……」
「ああ、だから何も気にしないでここにいてくれていい。みんな気が済むまでここにいてくれていいんだ。元々弟子を下宿させてたこともあるから設備は整ってる。昨晩君が泊まってくれた零の寝室だった部屋だって、零が隣の部屋を開放してくれたら椅子も机もソファだってあるし、簡易キッチンもある」
やはりあの部屋は元々レイの寝室だったらしい。有無を言わさぬという表情のリュウに、勝てるミラではなかった。
少なくともこの男に既に絆され始めていたミラである。
見た目も物腰もリュウとレイはそっくりである。そのこともそれに一役買った。
目の色は明るめのブラウンであるレイと違い、リュウはダークブラウンだが、顔立ちも似ている。後ろ姿も本当にそっくりである。
(将来、レイはこんなダンディな感じになってたのかもしれないな……)
「そういえば、君やっぱり僕のこと覚えてないよね? そうだよね、無理もないよなぁ、一回しか会ってないし」
唐突にそんなことを口にしたリュウに、ミラは黄金の瞳をまんまるに見開いた。
やはり覚えていないか、というような表情を浮かべたリュウがいた。
「すみません、どこかでお会いしましたっけ?」
「君がレスキューされた後色々検査されただろ。その時に少し会って話したよ。僕確かこう言ったんだ『君は酷い目にあったけど、きっと人間を好きになるし友達もいっぱいできるよ』って」
ミラは思い出して思わず立ち上がった。
「あ、あの時の!」
実験室から出てすぐにミラは色々と検査を受けた。レントゲンを撮り大騒ぎになり、手や足を見た医者たちは「鳥か? 爬虫類か?」と騒ぎ立てて鳥類研究所の人間が何人か呼ばれたのだ。
その中の一人に確か言われた。「鳥は人間といると人間が大好きになる、だからきっと君もそうなるよ」と。
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