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ミラは言葉を失って目がまん丸になっている。背後でドアが開く音が聞こえた。零はわざと聞こえるように言った。
「とんでもないジジイだ」
「誰がジジイだって?」
「ニワトリに手羽先なんて名前つけるなんてサイコパスジジイだろ! あ、おはよう」
「おはよう零。サイコパスかぁ。最高の褒め言葉だなぁ」
「褒めてないよ!」
龍はくつくつと笑っている。
「チキンウィング……」
ミラがぼそりと言った。
「なーんか名前考えるの面倒になっちゃってさ。うちの家族ってみんな適当じゃん、その辺。そういえば、レモちゃんどう、元気に食べて遊んでる?」
龍はキッチンの冷蔵庫から飲み物を取り出した。
「はい!」
チキンウィングショックから若干立ち直れていない様子のミラだが元気に答えていた。
「あの……リュウさん」
だが何か思うことがあったのだろう。ミラは龍に声をかけた。
「なんだい?」
「もしかして……チキンレッグもいるんですか?」
龍はちょうど口に含んだミネラルウォーターを盛大に噴き出した。
「それは流石にいないと思う。いくらじいちゃんでもさすがに」
もも肉なんて名前のニワトリはいないだろう、そう思った零であった。
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