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3. 検疫 ミラと朝倉京香
「早くミラ・スターリングに会わせなさい。どこにいるの?」
ドルフィンの母親のキョウカはゾッとするような笑みを浮かべた。ヒョウかジャガー、ネコ科の猛獣を思わせる。
もちろんフローリアンも彼女の顔は知っていた。しかし、本人を目の当たりにすると迫力が違った。
「こ、この奥に!」
案内する検疫所の所長は汗が止まらない。今更焦ったってもう終わりだろう。
フローリアンの目に、彼の姿はいっそ哀れに映った。
『ミラ、大丈夫かしら……さすが東方重工を引っ張る女傑、手強そうね……』
エリカから短距離通信でメッセージが届いた。
『一筋縄ではいかないだろうな……』
『でしょうね……』
皆でぞろぞろと彼女の後ろを追いかける。
その中で、ドルフィンのドローンだけが皆を追い抜くようにしてキョウカの前に躍り出た。
彼女のハイヒールの靴底は、血のように真っ赤だった。
フローリアンは失礼にあたるかと思いながらも彼女を飛び越した。
ラプターがとにかく心配だったのだ。
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