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「そういえば、役所の手続きとかどうすりゃいいんだろ。船籍チェンジだろ、普段だと結構審査とかかなり厳しいっていうよな?」
ぼそ、とキャシーがこぼしたので、ミラはしばし逡巡して口を開いた。
「今行政も混乱してると思うから……うーん」
「何かあったら政府から知らせが入るよ。今はゆっくりするといい。仕事だってそれからだろうし」
隣にいたリュウが微笑んだ。
「そうですよね……」
そう言ってミラはテレビに目を向けた。画面には避難所の様子が映し出されている。こんなところでぼんやりしていていいのだろうか。
そんなミラの心を見透かすようにリュウは口を開いた。
「ミラ、君はまずは怪我を治すこと。心身を休めなさい。キャシーもだ。君だってサミーに乗ってドッグファイトしたんだろ? しばらくのんびりしなさい。避難所に関しては今こそばたついているけど、うちの一家でも緊急で資金援助した。京香の会社の傘下のホテルは全棟無償で貸すって言ってるし、東方建設は今急ピッチでサブアイランドに仮設住宅を建設中だ。テレビより僕の方が詳しい。なんでも聞いて?」
「私たちが逃げてきたことで、今度は敵がブラボーⅠに襲いかかってきたりとか……しても今応戦もできなくて、どうしようって……」
心配で不安な心が口からこぼれてきてしまったかのようだった。
「東方重工傘下、東方ディフェンスシステムズと軍共同開発の最新鋭の迎撃システム。あれはそうそう掻い潜れない。捕縛したゼノンの機体を解析し尽くして、エンジンが特定の熱紋を発していることに気づいた。それを探知することができる。ブラボーⅡにも配備する予定だったけど間に合わなかった。京香は嘆いていたよ、あと一ヶ月早く開発できていればブラボーⅡは救えたかもしれないって」
「そんな……、そんなシステムが……」
キャシーはびっくりしたように顔を上げた。
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