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「それを管理しているのがチェックメイトの集めたデータで動くシステム。チェックメイトっていうのはサミーの姉。チェックメイト自体はサミーみたいにアマツカゼに搭載されたAIだからね」
「そういえばサミー、きょうだいがいるって言ってました」
ミラの言葉に、リュウはうんうんと頷きながら口元にうっすらと笑みを浮かべた。
「しばらくは安心して過ごすといい。その間に京香はゼノンを根本からボッコボコのギッタギタにする何かを作ってやるって息巻いてる。てなわけで、昼は気分転換に寿司屋に行こう!」
リュウはぽんと手を一つ叩いた。
ここはブラボーⅠ。日本人街があって、どの移民船よりも日系人が多い。ミラの口元は隠しきれない笑みをたたえていた。
「「本物のスシ!」」
ミラとキャシーの声が重なって、リュウは笑い声を隠しきれなかった様子だ。
その時、ミラの電話が鳴った。表示されている名前はフィリップであった。
彼女は珍しいと思った。フィリップは急ぎでもない限り電話はしてこないからだ。
「もしもーし!」
「あ、ミラ! 今ちょうど避難所でボランティアしてるワッカ姉とシュンイチに会って……夕方とかにでもどっかで会いたいって! あとラビも来れそう!」
「え、ワッカとシュンイチ!? ラビも?」
ミラの声がワントーン高くなった。実験室の仲間たちだ!
辛いことがたくさんあった。今度こそ死ぬのではないかと思った時もあった。
でもそれすら霞んでしまいそうな、今までとは違うめくるめく日々が始まる予感に胸が高鳴った。
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