4. 司令室 サミー、喫茶店 ミラ 仲間との再会

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 艦隊ですら敵を見失い、攻撃を受けている有様だ。おそらく敵はデブリ帯に身を潜めている。  やれやれ、と言った様子のサミーは重苦しく口を開いた。 「おそらく敵は既にブラボーⅡを別の宙域に回収済みでしょうね。司令、大統領、被害が大きくなる前に決断すべきかと」 「……司令、撤退指示を。我らはこれ以上人材という宝を亡くすわけにはいかない」  攻撃命令を出す機会に恵まれなかった大統領だが、彼は意外にも冷静だった。  なんの成果も得られずブーメランのように戻ってきた一団だったが、その後、敵の情報は忽然と消えた。 (ショックを受けたのかもしれないな……)  彼らはあまりに純真だった。純粋に、サミーを、そしてサイボーグたちを人間から救おうとしていた。  ブラボーⅠから脱出したあの時、ゼノンは疑うこともなくサミーに背中をさらけ出して仲間として迎えようとした。サミーはその純粋な心を利用して騙し討ちをしキャシーを救ったのだ。  ゼノンは陰謀論を流すことができた、サミーが思うに馬鹿ではない。  これすなわち嘘をつき、他者を欺くことが可能ということだ。  サミーを絶賛しリクルートしてきたあの時、彼らは純粋にサミーを仲間として迎え入れようとしていたのだ。彼らはサミーを心から信じようとしていたのだ。  人間を殺したことにも、ブラボーⅡを沈めたことにも、それからソックスが死ぬきっかけを作ったことも許せない。あれほどキャシーを、そしてドルフィンやラプターを悲しませ傷つけた、それは疑いようもない事実である。  だが、彼らはサイボーグたちに通信を拒否され、挙句チェックメイトにまで袖にされ……。    サミーは思った。ゼノンほど、健気で哀れな人工生命体もいるまいと。
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