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結局、夕飯の時間になってもレイは戻ってこなかった。ものすごく会いたい、話したい。
「イチカさん、すみません、ご挨拶が遅れました、ミラです。お世話になってます」
「あらいいのいいの。零ちゃんも嬉しそうだし、ゆっくりしていってね」
やっと対面できたドクター・アイカワ。地球の救世主でありレイの祖母であるイチカはおっとりとした小柄な女性であった。
ミラがぼんやりしていると、後ろから誰かに肩を抱かれた。誰だ、と思えばキョウカであった。ヒールを履いていないキョウカはミラより数センチほど背が低かった。
「ミラちゃん、キャシーちゃん、今日はステーキよ! いい? 遠慮しないで食べなさい」
ミラは驚いた。オープンキッチンには見事な鉄板。蓋がしてあったのだろう。そうか、下は鉄板だったのか! リュウが不敵に微笑んだ。
「さて僕に任せて。リーさんちの肉は最高だから!」
リーさんとは? とミラが混乱しきりでいると、キャシーが教えてくれた。昼間クリムゾンとスミルノフ大佐が来たらしい。
「会いたかったな、クリムゾン」
「そっかそっか、ミラが上官がいても気にしないって言うんなら、今度ミシェル君呼んで焼き鳥パーティしよう! 零はなんか上官の人がいるのが嫌だったらしくてどっか行っちゃったからねぇ……」
「はい! クリムゾンとスミルノフ大佐なら歓迎です!」
ミラは少し思った。この家の人間は、ヤキトリを食べるんだな、と。
リュウの焼いてくれたステーキはとんでもなく美味しかった。
シャンパンで乾杯し、グリル野菜から晩餐が始まった。
脂肪分が少ないヒレ肉とは思えないほど柔らかい肉は、程よく熱が入ったミラがお願いした通りのミディアム・レア。ソースをかけるなんて勿体無くて、塩と胡椒でいただいた。
二枚目、もう少し脂身の多い部位はリュウのおすすめでわさび醤油をつけていただいた。
最後にはガーリックライス、デザートにフルーツまで出てきて、贅沢すぎるフルコースであった。
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