14.雪の音が舞い降りる(エピローグ)

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「――――――くっ、ぅ、ぅっ……」 「……夏っ 、、、私じゃ夏樹さんのこと――――」 「っ俺達!   同じ世界で、同じ時間、生きてるのに!  どうしたら……他の誰かと幸せになれると思うの? 一番っ、世界で一番好きな人が生きてるのに!」 「――――!!   ……ふっ、ぅっ、私と、私と一緒にいたら、つらい思いをさせてしまうからっ」 「それは! 雪乃さんも、同じでしょ……」 「違うよっ。  お子さんは? って絶対聞かれるよ!?  夏樹さんは悪くないのにっ……」 「雪乃さんだって悪くない。悪くないんだよ……」 「うぅ――――惨めな思いを……させたくないの……」 「惨めなもんか……雪乃さんは一生懸命、生命(いのち)を守ろうとしてくれたじゃない?」 「でもっ、」 「うん、とっても悲しかった……ね?」 「ふっ、ふぇ――――」 「ごめんね、俺が情けなくて……別れを受け入れるべきじゃなかった。間違ってた。  失ったとしても、ずっと、大切だったんだ。大切なものにかわりはないんだ……」 「――――うん、ずっと、」 「ね? 俺達、大切にしてるもの、同じだと思うんだ。だから今こうしてここにいる……」 「……呼ばれた、気がしたの」 「そっか、俺もだ……」  ―――― パパ! ママ! ―――― 「…………私で、いいの?」 「これからは、一緒に見つけよう?  ……雪乃さんの大切にしたいもの、たくさん。それで俺も一緒に、大切にしたい」 「――――ありがとう。ありがとう、夏樹さん…………会いたかった」 「俺のほうがっ…………会いたかった。こんなに冷たくなって――――待っててくれてありがとう」 「――――――初雪は……みんなで見れたらって、それで、願いが叶ったの」 「――――俺、雪乃さんに伝えたいことがあるんだ」 「私も。ずっと伝えたかったの……」 「雪乃さん……」 「夏樹さん……」  「「 愛してる―――――― 」」  この命が尽きようと、いつまでも。  絶えまない愛を……あなたへ。 夏雪の花に最後の恋をして。 終
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