三.マルサ的な女

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三.マルサ的な女

「お待ちなさい、あなたたち! 査察(マルサ)ですの! ガサ入れですの!」 社長室の入り口の扉がバンッと大きく開かれ、紫のスーツに身を包んだ一人の女が現れた。 「あなたは!?」 「まさか!?」 咲耶とコンガがその女に目を見張り身構える。 「ふふふ、久し振りですの、咲耶! そしてコンガ先輩! そう、アタイはネム! 忍者のスキルを活かしたお仕事で国民のために大活躍中のデキる女、ネムですの! マルサ、それは国税の忍ですの!」 それは十年の時を経て大人になった、国税庁の査察官、ネムであった。 「ネム……! こんな形で再会することになるとはね。 っていうかあなた、そんな口調でしたっけ?」 「月日は流れたものですの! 岩爺(がんじい)が異世界転生してからも、早や三年が経つんですの!」 「いや、それは普通に三回忌って言いなさいよ」 「岩爺は死んでなんかいない。 いつでも我々の心の中に生きている……」 コンガが涙をぬぐいながら天井を見上げた。 と、ふいにその天井近くの空間が歪み出し、渦を巻いて穴が開くと、轟音と共に光が放たれた。
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