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五.伊賀シティに向かうんですの!
「ネム、私だって忍の心を忘れたわけじゃないわ。
コンガ!
忍法『重大な証拠である裏帳簿を粉砕消滅するの術』よ!」
「はいはい、シュレッダーですね」
いつの間にか大量の段ボール箱を抱えていたコンガが、床に空いた巨大シュレッダーへと箱の中身の書類やタブレット端末をバサバサ放り込むと、一瞬にしてそれらは木っ端微塵になって深い闇の底へと消えて行った。
「な……さ、咲耶、あんた……!」
「ほほほ、さ、行きましょう!」
高笑いを響かせた咲耶が窓ガラスを蹴破ると、両手足の先で布の四つ角を保持したムササビの術で宙を舞い、コンガも同様に後を追って飛び立った。
「色々あるようじゃが……すまんがパンダが先じゃ」
マオをお姫様抱っこした若き勇者・岩爺は、ネムにウィンクを送ると、強烈な蒼白い光に包まれ飛行魔法で飛び去って行った。
「いや、っていうかもうあんた誰ですの!?
ならばこっちだってですの!」
ネムが体の前で両手を向かい合わせ術を唱えると、そこに強力なエネルギーの塊が光の玉となって凝縮されていった。
「てやっ!ですの!」
咲耶たちに向かって投げつけられた光の玉は、音速を超え衝撃波を放ちながら一瞬にして追いついてくる。
が、そのまま咲耶に直撃するかに見えた光の玉を、間に割って入ったコンガが振り向きざまに大口を開けて飲み込んだ。
コンガの腹の中で大爆発が起こる。
「ひ、久し振りだな、この感覚……!
しかし……腕が鈍ったな、ネム。
効かんぞ」
丸焦げになりながらも、コンガは薄く笑って飛び去った。
「ぬうぅぅっ!
逃がさないですの!
アタイも伊賀のハヤテカンパニーへ行くんですの!」
ぎりぎりと歯噛みしながら、ネムも割れた窓から宙へと躍り出た。
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