六.オフィスの女

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六.オフィスの女

伊賀シティの中心にそびえ立つ高層オフィスビル、その屋上には『ハヤテカンパニー』のロゴが輝いていた。 ハヤテカンパニーは、なぜか男性社員しか働いていない特殊な職場であった。 しかしそこに、なぜか一人だけ若い女性社員が紛れ込んでいた。 黄色いスーツに身を包んだ彼女は、書類やノートPC、デザイン用具などを抱え、 「遅刻遅刻! 大事なプレゼン会議に遅れちゃう!」 と食パンをくわえながらドタバタと廊下を駆け、勢いよく角を曲がった。 が、 「きゃっ!?」 「うゎっ!?」 同様に角の向こうから駆けてきた若い男子とぶつかり、二人揃って床に倒れる。 「いててて……」 先に起き上がった男子が、目鼻立ちの通った美少年顔をしかめながら、突然ぶつかってきた相手を確かめた。 女もまた「いったぁい」と額を押さえながら遅れて起き上がり、はっと、大きくはだけたスカートの裾を慌てて引っ張って足を隠しながら、 「どこ見てんのよ!?」 と男子を睨み付ける。 「な、べ、別に何も見てねぇよ!」 「ふん! どうだか! 見ない顔ね、新人かしら!? 今度会ったら覚えてなさい! あたしは急いでるの! じゃあね!」 女は立ち上がって再び廊下を駆け出した。 なんだよあいつ、と口を尖らせながら男子がその背を見送る中、走り続ける女に対し、次から次へと様々なイケメン社員が声をかけてきた。
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