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悪夢
ふと目を覚ますと、見知らぬ人が立っていた。
何かの見間違いかと思い、目を閉じてまた開く。
そうして見ても、見知らぬ人が立っていた。
見知らぬ人は、手に包丁を持っていた。
ヤバいと思った。
逃げようと必死に動こうとするが、金縛りにあったかのように体が動かなかった。
声も上げようとするが、出なかった。
首だけは動いた。
首を動かして、隣の布団で寝ている相方を見た。
寝ていた。布団を丸めて、寝言を言いながら。
相方は、見知らぬ人に気付いていない。
私は見知らぬ人に視線を戻す。
こちらに近付いてきていた。
ゆっくりとゆっくりと。
やがて見知らぬ人は、私の上に馬乗りになって包丁を振りかざした。
包丁が喉元目掛けて振り下ろされる。
あああああああ!
声なき声が上がる。
私の喉元に、包丁が突き立てられた。
絶望に飲み込まれ、全ての景色が暗転した。
「は!」
目覚めた。
すると見慣れた家の天井があった。
体を起こし、辺りを見回した。
私の家だ。何も変哲もない。相方もいない。
「……夢だった?」
体中びしょびしょの汗をかいていた。
「それにしても悪夢だった。汗が気持ち悪いし、シャワーでも浴びよう」
そうして、シャワーを浴びて汗と悪夢を洗い流すのだった。
終わり
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