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【666】
今朝もニュースやワイドショーでは【666】の事件で持ち切りだ。
夏休みに入った途端、ワイドショーのレポーターたちが各地で起こった異常事態を報道していた。レポーター陣も熱のこもった報道合戦を繰り広げていた。
『事件です。こちら埼玉シティの小学校でも今朝未明、校庭に【666】と机が並べられておりました』
男性レポーターがマイクを片手にシリアスな顔で埼玉の小学校を紹介していた。
『埼玉、神奈川、千葉、そしてメガロポリス東京でも相変わらず、小中学校の校庭に机で【666】と並べられております。いったい誰が、そしてなんのために並べているのでしょうか。その謎を突き止めたいと思います』
各地で、レポーターたちが叫ぶように報道していた。このところ連日、大騒動だ。
まるで蜂の巣を突っついたような賑やかさだ。
「ううゥン……」
ボクもテレビの大画面を見ながら唸ってしまった。先週はまだ一件だったのに、今週に入ると毎日5、6件の小学校の校庭に例の【666】と象られた机が並べられていた。
ただのイタズラだとしてもひとりやふたりでは到底、出来ない芸当だ。
今のところ東京近郊だけだが、広範囲でしかも複数だ。
さっそくウチの小学校でも臨時の職員会議が設けられ、今後の対策が練られた。
会議室に十人以上の教職員が集められていた。
さすがに柔和な万城目校長もいつもの好々爺といった感じではない。困惑気味に会議へ参加していた。
「ンうゥ、藤丸先生。どうですか。あなたが第一発見者ですよね。今回、校庭で【666】と机が並べられたのを見つけたのは」
腕を組んだまま万城目校長は眉をひそめてボクに訊いた。
「ハイ、そうですが」
未だにボクは風魔小次郎の事を公には秘密にしていた。
もちろんクリプト絵巻のことについても口を閉ざしていた。
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