666

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「いくぞォ。アリーナァーーー!」  咲耶は派手なジェスチャーで盛りあげていた。どこかで聞いたことのあるフレーズだ。 「どこへ行く気だよ」  すかさずボクはツッコミを入れた。 「えェ……?」 「ここはアリーナじゃねえェよ。ただの職員の会議室だろう」  すぐさまボクはツッコミを入れた。 「フフゥン、アリーナにしては小さ過ぎるな」  咲耶は見回して文句を言った。 「そうだろうけど、今、教職員で【666】の謎解きをしてるんだから、邪魔をしないでくれよ」 「フフゥン、すべての謎はこの忍ばない! くノ一探偵咲耶に解かれたがっているのよ」  圧倒的な自信だ。 「な、なにィ?」先生たちも驚きを隠せない。 「じゃァ、キミは校庭の【666】の謎がわかると言うのかね?」  興梠(コオロキ)教頭が眉をひそめて訊いてきた。 「もちろん皆の者に、校庭に【666】と書き(しる)された本当の意味を教えて差し上げよう」  咲耶は目を輝かせて微笑んだ。 「えェッ、本当の意味?」  すぐに興梠教頭や他の教師らが聞き返した。 「やめろ。咲耶(サク)ちゃん!」  慌ててボクは彼女の話しを遮った。  だが、相変わらず咲耶は空気を読まない。 「【666】とは、令和6年6月6日のことなのだ」 「えェ……、令和6年?」  校長たちも聞き返した。 「そうだ。その日、のよ」  咲耶は予言を唱えた。 「な、なんだってェ。そんなまさかァ?」  一斉に教職員全員が驚きのあまり立ち上がった。 「もし何者かが、クリプト絵巻をすべて奪い取れば、破滅へのカウントダウンが始まるわ」 「おいおい、むやみやたらに動揺や不安を煽るようなことを言うな!」  慌ててボクは注意した。  地球が破滅すると言われても、ここにいる教職員たちには何ら対応策がない。 「フフゥン」
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