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涙が止まらない。
「おいおい、弁当くらいでそんなに泣かなくても・・、もしかしてこのサプライズ大成功だったのかな」
ごめーん、本当にごめんなさい。猫ーっ、わたしはなんて馬鹿なことをしたんだろう・・。もう離さない。一生大事にするからね、許してね、猫!
仔猫を何度も抱きしめるわたしを見て、
「早く飯食おうよ、椿」と、彼はもはや呆れたような顔で、料理を摘まんでいる。猫じゃ可哀想だよな、なにか名前つけてやらなきゃ。なんて言いながら・・。
この椿という名前も、ポロっと首が落ちてしまう花のイメージが強くて好きじゃないと言ったら、彼は未練がましく一枚ずつ花びらを落としていく花より潔くて、俺は好きだけどねと言ってくれた。
そんな人は初めてだった。
後ろばかり思い返してもなんにもならない。今日、猫に会えた、今日素敵なサプライズがあった。今日、晴さんがここにいる。
それでいいんだ。
晴さん、あなたに出会うことが出来てほんとうに良かった。
(了)
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