ジンクス

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全身に鳥肌が立っている、その足元には八の字を描くように三毛猫が体を擦り付けていた。 「あっ! そうだ、猫・・」 今朝、スーパーからの帰りに拾った仔猫だった。辺りを見回しても親猫らしき姿もなく、ダンボールとかも見つからないから、故意に捨てられた感じでもない。それなら親とはぐれた野良猫かもしれないにしても、濡れた体で凍り付いた水たまりをペロペロ舐めているのを見るのは忍びなかった。それで、少しの間だけでも暖かいところで温かいミルクをあげようと連れて帰ってしまったのをすっかり忘れていた。 「ミルクだけじゃお腹すいたよね。ちょっと待ってて、猫が食べれそうなものはないかな・・」 はっとする。 子供の頃、誕生日プレゼントに当時流行っていたアニメのキャラクターマスコットのキーホルダーを友達から貰って大喜びしたけれど、祖母が買ってくれたテディベアのキーホルダーが気付かないうちになくなっていた。 大切にしていたのに、家じゅうのどこを探しても見つからなかった。中学の時には、新しい友達が出来た途端、入学当時から仲良くしていた友達と上手くいかなくなり、そのまま卒業。高校の時には新しい先生が入ってきたのと交代するように優しくしてくれていた先生が体調不良で退職した。 三年前にも憧れだったヨーロッパ旅行に行き、どうしても欲しくなったティカップをペアで買って帰ったら、留守の間に彼がわたしのティカップを落として割っていた。
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