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偶然だといえば偶然。
でも考えてみれば、やっぱりわたしって新しいものが入ると、古いものが出て行ってない?
はじまりは気にならないくらい小さな出来事だったはずなのに、そこに繋がるようなことが度重なるたびにいつの間にかそれはジンクスに変わる。
まさか・・、この猫を入れたせいで彼が?
その発想に自分で呆れ、思わず苦笑する。
「それはいくらなんでも有り得ないでしょ」
そう笑い飛ばしても、彼が出てから既に5時間を過ぎ、電話も掛かってこないし掛けても繋がらないなんて。
「ジンクス?」
仔猫は暖かい場所でお腹も満たされたせいか、まるで自分の家のようにストーブの近くで眠っていた。
「いやだ、あんたを入れたせいでほんとに晴さんが追い出されたの?
まさか・・、そんなの絶対にいやよ!!」
仔猫の首根っこを掴むと窓を開け、「ごめん、彼を返して」と放り投げた。地面へとへばり付くように着地した仔猫は、突然のことに驚いたような顔をしてキョロキョロしていたけれど、すぐに草むらから暗がりへと走って消えていった。
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