第1話 修行の山

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第1話 修行の山

〟バラバラバラバラ〟  「停止飛行(ホバリング)の音って、思ったよりうるさいのね。 ごめん、ヴァン。 あたしは、周りの音を遮断してパパと話しができるヘッドセットを着けているから平気だけれど、人間より聴力がある君は、ツライよね」 ヘリコプターの中、ぼくが入った小さな檻を膝に抱えたアヤちゃんが、ぼくに向かって大きな声で言った。 アヤちゃんは、10歳の女の子だ。 ヴァンとは、ぼくの名前。 アヤちゃんのお父さんが、ぼくの種族〟ターキッシュヴァン〟から名付けてくれた。 ぼくは多分、アヤちゃんの話しだと、2歳になる猫だ。 「ヴァン、よく聞いて。ここ、熊本県の猫岳はね。 猫又になりたい猫たちが修行をする場、猫又学校なの。 君はここで修行をして、猫又になれたら、家にもどってくるのよ。 それが君の使命よ。 だから猫又になれないままで、戻ってきちゃダメだよ!」
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