4人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼくたち動物は、種族が違ってもお互いの言葉が分かる。
もちろん、人間の言葉も。
人間だけが、他の動物たちが何をしゃべっているのか、分からない。
上を見上げたけれど、木々の枝葉が見えるだけだった。
「お前、キャットフードしか食べたことのない飼い猫か?」
――また聞こえた!
やっぱり人間の言葉だ。
〟そうだよ。〟
と、答えようとしたとき、突然、一瞬の光のように、記憶が甦った。
――アヤちゃんたちと出会う前、確かにぼくは虫を食べていた。
「ミャッ、ニャー(いや、食べていたよ)」
ぼくは答え、殺した虫を口に入れてかみ砕き、飲み込んだ。
苦かったけど、もっと食べたいと思った。
「腹が減っているならもっと喰え、辺りは虫だらけだ」
最初のコメントを投稿しよう!