第1話 修行の山

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ぼくたち動物は、種族が違ってもお互いの言葉が分かる。 もちろん、人間の言葉も。 人間だけが、他の動物たちが何をしゃべっているのか、分からない。 上を見上げたけれど、木々の枝葉が見えるだけだった。 「お前、キャットフードしか食べたことのない飼い猫か?」 ――また聞こえた! やっぱり人間の言葉だ。 〟そうだよ。〟 と、答えようとしたとき、突然、一瞬の光のように、記憶が甦った。 ――アヤちゃんたちと出会う前、確かにぼくは虫を食べていた。 「ミャッ、ニャー(いや、食べていたよ)」 ぼくは答え、殺した虫を口に入れてかみ砕き、飲み込んだ。 苦かったけど、もっと食べたいと思った。 「腹が減っているならもっと喰え、辺りは虫だらけだ」
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