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その頃には、日は完全に落ち、闇夜になっていた。
でも、猫であるぼくは、闇夜を見通す目を持っている。
草の中に、虫たちの燐光が輝くのが見えた。
ぼくは、夢中で虫たちを捕って食べた。
空腹が収まり、ぼくは虫を殺して食べるのを止めた。
「もう、殺さないのか?」
あの声だ。また、頭の上から聞こえてきた。
「ニャッニャッ(殺さないよ。おなかは満たされたもの)」
そう答えると、何も見えなかった木々の枝葉の間から、満月のような光が、ふたつひと組となって、いくつも現れた。
それはぼくたち、猫族の目の光。
目の光の周りに影が現れた。
その影たちは、音もなく地上に舞い降り、
10匹の猫の姿になった。
「お前、元は飼い猫のようだが……。
飼い猫にしては上出来だ。
オレたち、修行猫の仲間になりたいのか?」
――シュギョウネコってなんだ?
と思ったけれど、すぐに答えた。
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