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ぱあああああっ・・・!!
ドラゴンの笛を吹いたとたん、いきなり僕の地面に魔法陣が現れた。
な、なんだこりゃ?!
辺りが眩い光の中に包まれて、僕の身体はどんどんどんどん大きくなった。
爪が生えて鋭くなった!!
お腹が大きく孕んだ!!
脚が逞しく太くなった!!
鼻が大きくなった!!
口に牙が生えた!!
目が鋭くなった!!
背中に翼が生えた!!
まさか・・・
僕自身が、ドラゴンになっただと・・・?!
えええええええええええええ!!!!!
この父に託されたドラゴンの笛の正体が解った。
この笛を吹くと、何処からともなくドラゴンがやって来るのではなく、吹いた者自身がドラゴンになるという代物なのだ・・・
僕は理由も解らず、目の前の大暴れする魔物と戦った。
なかなか手強い魔物だ。
魔物に苦戦を強いられながら、ドラゴン姿の僕はハッと気がついた。
父がよく僕に言い聞かせられてこの言葉を。
「なあ、トム。お前に何かあったら直ぐに安易に他人に頼ってはいけないよ。
自分で何とかしなきゃならない時もある。それが人生だ。」
そうなのだ。
この笛はこういう意味だったのだ。
この笛でドラゴンが来ずに自らがドラゴンになるという事は、父の教えそのものだったのだ。
解ったよ、父さん。ドラゴンになった僕がこの魔物を倒します!!
魔物は倒れた。
ドラゴンの力はあなどれない。
じゃあ人間に戻ろう・・・って、あれ?どうやって人間に戻るんだ?
またこの笛を吹くのか?
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
すると、ドラゴンの体の空気がしゅーーーっと抜けるように元の人間に戻れた。
その時、父がこの笛を託されたこの言葉が脳裏に過ぎった。
「決してやたらとこの笛を吹くな!!
さもないと・・・私みたいに・・・なるぞ!!」
そうだ、何で役人に父は殺されたのか?も。
父はこうも教えられた。
「なあ、トム。お前の行動は全て自己責任だ。」と。
父はこの笛を吹いて、何度もドラゴンになったから役人に目を付けれたんだ!!
だからか。「やたらと吹くな!」と。
解ったよ。ドラゴンになるのは万が一だ。笛をポケットの奥に・・・ってドラゴンになって服が破けてるし!!
〜ドラゴン呼ぶ笛はポケットの中に〜
〜fin〜
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