隣人

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 春奈と久留須に関する資料に目を通す。  自分で集めた資料もあるけど、殆どの資料については、他の部署にいる知り合いの刑事さん達に優しくお願いをして集めてもらった。  部署違いや管轄違いやらで、面倒な手続きが多いからね。煩雑な事務処理に振り回される時間がもったいないでしょう。  二人は同じ施設で育ったことが分かった。資料によると、二人は何時も一緒で、仲良く過ごしていたとなっている。  お互い、18歳になったら、施設を退所している。  その後の足取りは不明となっていたが、二人の足取りについても、他の部署の刑事さんに優しくお願いをしておいたから、そのうち分かる事だけどね。  二年くらい前まで、カウンセリングを受けている事も分かった。  虐待を受けていたとは言え、親が殺された訳だからね。心に受けた傷はかなり深い物だったのだろう。心のケアが必要だったということか。  ただ、今回の事件の犯人だとしたら、何のための心のケアだったのか、疑問を残してしまうことになるが、二人の接点は掴めた。  資料から得られた情報を元に、色々と考えを巡らせていたら、一人の刑事さんが不機嫌な表情を浮かべ、私の所に来て、机の上に資料を投げるように置く。 「沖田さん。今回の件はこれで最後にしてください。それと例の件、お願いしますよ」  吐き捨てるような感じで言葉を残して、私の前から消えていった。  優しくお願いをしたつもりだったけど……。  と言うか、私に弱みを握られた時点で、終わっているんだよ。  笑みを浮かべながら、資料を眺める。使えない奴にしては上出来だよ。  あの二人の今の住所と直近の写真。最も欲しかった情報だ。  ただ、資料を鵜吞みにする気はない。  これから調べさせてもらうよ。  私なりのやり方でね。
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