22人が本棚に入れています
本棚に追加
右手が動かない。
どうして?
沖田の左手が私の右手首を握りしめていた。
そんなっ……。
沖田は振り向き、ニヤリと笑みを浮かべ、私の右腕を捻りながら上に上げる。
右腕に電流が駆け抜けるような激痛が走る。骨が砕けてしまうかのような激痛。
右手からナイフが落ちてしまう。
沖田の鋭すぎて突き刺すかのような目付き。
身体を一気に駆け抜けていく戦慄。
ガクガクと震えだしてしまう。
お腹に鉄の塊を打ち込まれたかのような衝撃が走る。
お腹を突き破るかのように打ち込まれた沖田の拳。
一瞬、喘ぎ声を上げるけど、頭の中が一気に真っ白に染まってしまい、思考能力が消えていくと同時に、意識そのものが消滅していく刹那を感じながら、私は両膝から崩れ落ち、倒れ込んだ。
沖田に挑むのではなく、逃げるという選択肢を選ばなかった自分の浅はかさを、後悔しながら……。
最初のコメントを投稿しよう!