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私はこのまま、沖田に警察に連れて行かれるのを待っていれば良いだけだ。
沖田は久留須を取り逃がすことになる。
残念だったね。
私達に辿り着くまでは、見事だったけど、最後でしくじったね。
沖田さん。
そう思っていた。
時がこのまま過ぎてしまえば、終わりだ。
後から騒いでも、久留須は逃げきっているはず。
そんな私の想いを、無情にも潰すかのように響くドアの軋む音。
どうして?
ドアの向こうにいるのは久留須だった。
逃げて!
必死に叫ぶけど、声が出ない。
駄目だ。
この危機を伝えられたとしても、沖田の仲間が駆け付ければ万事休すだ。
どうしたら。
久留須にかけるしかないよね。
沖田を仕留めてもらうしかない。
久留須はゆっくりと廊下を進んでくる。
沖田がどちらの部屋にいるか教えることが出来れば。
沖田に気が付かれないように。
目を使ったら、沖田に直ぐに分かってしまい、上手く待ち伏せをされてしまう。
どうやったら。
久留須は私を見ている。
私は足を微かに動かして、沖田のいる部屋を示した。
久留須。
気が付いて。
お願い!
私の想いが通じたのか、久留須は少し頷くような感じで、私の足元を見た。
久留須は一旦、右側の部屋に入る振りをして、左側の部屋に入り込む!
沖田にフェイントをかけたのだ。
いけるかも!
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