22人が本棚に入れています
本棚に追加
裏側
春奈と久留須を逮捕するには、物的証拠を集めるしかないが、現段階では無理に等しい。私一人ではどうにもならないからね。
誘い出すしかない。
公務執行妨害と殺人未遂あたりで上出来だろう。
二人が狙っている家族の子供を保護することにした。
先ずは、二人の目的を潰す。
そうすれば、二人は私を狙う。
予定通りに二人は動いてくれた。
春奈が私の尾行をしてくるのは分かっていた。
その辺の刑事さんよりは上手だったよ。
けど、残念。
ブティックのショーウンドーが、鏡の役割を果たしていた事に気が付かなかったみたいね。
貴方の動きは全て私に映し出されていたの。
お陰で春奈を難なく捕らえることができた。
後は、久留須を誘き出す。
春奈の部屋に必ず戻ってくるはず。
部屋の外に黄色いハンカチがある事に気が付いた。何かの合図に使っているのだろう。その辺の推測はつく。
春奈の表情を見ていて、危険を知らせるために使う物だと分かった。
顔に出やすいタイプだな。
物干しに干して、外から見えるようにする。
問題は干し方だ。
両端に洗濯バサミで挟んである跡があった。
成程。
広げて干す訳か。
片方だけ洗濯バサミで挟む。
何時もと違う干し方に久留須は反応をする筈だ。
干し方が違うからと言って、安心するのは速いよ。
春奈さん。
暫くして、久留須が家の中に入ってきた。
春奈が必死に足を動かして、私がいる部屋を教えていた。
隣の部屋のドアを開けて、鏡を置き、久留須の動きは分かるようにしておいたけどね。
久留須は敢えて、隣の部屋に入る振りをする。
久留須は私がいる部屋に入ってきた。
待っていたよ。
久留須さん。
最初のコメントを投稿しよう!